治療と奥様が支えた無菌生活
年が明け、鈴木は本格的な治療に入った。3月になり赤ん坊のへその緒から採った臍帯血移植を受けます。
「医者から『造血幹細胞、血をつくる細胞を移植します。ただし移植が成功しても病気が治る確率は4~5割』ですと言われました。当時、クスリの副作用も辛かったし、体内では何だか戦争が起こっている感じがしていました。本当に治るのかなと不安な毎日でしたね」
この手術は、臍帯血移植をするわけですから、鈴木さんの血液は赤ちゃんと同じようにまっさらに戻る状態になるので、しばらくは無菌室、そして家に帰ってからもなるべく家の中は常にきれいにしておかないといけない状態になります。
それで、奥様は鈴木選手が早く復帰できるように家の中を綺麗に保つように磨きまくっていたようです。
「今、1歳半とか2歳の赤ん坊と同じ身だから、まだまだこれからです。そういえば血液型も変わったんですよ。移植したことでO型からA型になった。病気が治ったように、O型の大雑把な性格から変わったらいいんですけどね、アハハハ」と、明るく語る鈴木選手(笑)
85キロあった体重は一時、65キロ近くまで落ちた。だが移植後の経過は良好で、6月末には退院。その後、検査の数値も正常に戻り、仕事の再開も許可されます。
「一度は死を覚悟した身ですから、格好良いことをいうと、自分が何かを残すなら野球しかない、それがこれまで育ててくれた野球界への恩返しだ、と。とはいっても野球しかできることがないんですけどね」
復帰を果たした鈴木は立教新座高(埼玉)のコーチに就任した。高校生を相手にノックバットを振り、守備や走塁のノウハウを惜しみなく教えているということです。
手術が成功し、その後の奥様のサポートによりまた野球界に戻ることが出来て本当によかったです!
これからもお体をお大事にして頑張ってください!